ehnmsのブログ

ボケ防止

料理下手と自由闊達な開発

料理が下手な人は実在する。私です。

料理が下手な理由は諸説ありますが、割と有力なのが「独自アレンジ」によるものです。例えば、弱火で15分煮込むような作業を強火でやれば時短になると言い張ったり、調味料の持ち合わせがないから代わりになると思って全く関係のない調味料を入れたり、こうしたらおいしくなるんでしょ知ってるよ!と言わんばかりに関係のない食材を入れたりすることを「独自アレンジ」と言います。

これはその調理の工程や調味料あるいは食材の存在意義を独自に解釈したところ、全く違う解釈をしてしまっていることが原因なのでしょう。要するに背景を理解しないで早合点しているということなんでしょうね。

(ここで料理の話は終わりで、あとは愚痴なので読まないでいいです)

 

ところで、ソフトウェア開発において工程というものと成果物というものがあります。もうわかると思いますが、この工程というものの独自解釈をしやがるやつらが残念ながら存在するということを書きます。

ソフトウェア開発で親の仇のようにたたかれ続ける方式としてウォーターフォール開発というものがあります。ウォーターフォール(=滝)のように、上から順に作業をしていって最下流にたどり着いたときに製品が出来上がっているという、いわばベルトコンベアのような方式です。これは時代遅れで前時代的ではあるのですが、とても分かりやすく管理方法もほかに比べれば単純なので今でも現役の手法です。例えば、関わる製品に急な要件変更がない時や(今風に言うとプロダクトアウト)、ハードウェアと密接にかかわるソフトウェア(まぁこれもプロダクトアウトですけど)を開発する際にはよく使われます。

ウォーターフォールのように、と言ってもそんなにうまいこと上から下に流れるように行くはずはありません。人間だれしも間違いがあるので、基本的には細かく行ったり来たり、上に戻ったり下に行ったり、を繰り返して調整をしながら徐々に下っていくイメージです。

そんな細かい行ったり来たりを繰り返しながらも、一度下って次に進んでもいいよ、というための承認プロセスというものがあります。いわば検問です。この検問で一定の出来栄えになっていないと上司とかが通せんぼしてきます。一定の基準を満たしていないと通すわけにはいかねぇぜ!ということなんです。

「でも、結局行ったり来たりするなら意味なくないですか?」とお思いの方もいらっしゃるでしょう。そういう気持ちもわかるのですが、それでも要所要所で一度チェックをすることは大事です。一度行って、戻ったときにすべてを覆すような修正(例えばゲーム作ってたけどやっぱり表計算ソフトにしますみたいなレベル)が入った日にはすべてやり直しですが、入る修正というのは大抵の場合において全体の構造を大きく変えるものではないです。「なんかここの計算式間違ってね?」とか、「ここのデータ逆じゃね?」とか、「ここ使い方分かりづらいからこの方法にしね?」とかそんなものです。仮に大きく変わったとしても次のチェックポイントがあるので、そこで何かしらのチェックが入ります。

ですが、この検問を無視するヤカラが居ます。ウォーターフォール方式と同じ工程を採用して予定も立てているくせに、検問がないのです。これはウォーターフォール方式ではなく、ただ単に流れる水です。そのままのウォーターフォールです。自由落下です。なすがままです。

これだと何が問題かというと、先ほど言った要所要所のチェックがないので、すべてのチェックが最後の最後に行われることになります。そうすると、途中でチェックしておけば発見できたようなものが最後まで残って尾を引いていたり(例えば最後の最後にゲームじゃなくて表計算ソフトになっていたとか)、途中でチェックがないせいでその後の作業に混乱をもたらしたり(例えば何も必要なことが書いていないものを説明書といいはるとか)、ハプニングがいっぱい起きることになります。

そんなドキドキな思い出がいっぱい詰まった開発方式を玉手箱方式と言います。箱を開けてみると、時間がものすごく経つ上に疲労が溜まってしまいます。今名付けてみました。うまい。

 

「いやいや、話だけ聞いてると途中のチェックを飛ばさなきゃいいだけじゃん。」と思うかもしれませんが、途中のチェックが「面倒くさい」「大変だ」「開発に関係のない作業(!?)が増える」ということをいう人がいるので飛ばされてしまうんです。この場合、チェックを飛ばす人の方が正しいことになります。チェックをしないとだめよ、と発言する人は急進派であり理想論者です。「そんなものしたって問題は出るし、チェックの時間もかかっちまうんだぜ、へへっ甘ちゃんにはわからんだろうな!」と現実をわかっているクールな彼らには理想を掲げた世間知らずの意見など通りません。

いや、別にそこまで言われはしないですけど、なぜか拒否されるんですよね。

 

なんででしょうね。好きなのかな、残業。

私も残業代は好きです。